2007年02月06日(火)
映画/社会 -- ダーウィンの悪夢

ダーウィンの悪夢
監督:フーベルト・ザウパー

半世紀前タンザニア・ビクトリア湖に放流された肉食魚ナイルパーチ
在来種を食らい 増殖を続け 土地の生態系や環境を変えたばかりか
輸出魚として重んじられ 現地の経済にも影響を与えました
仕事を求めて農業を捨て 湖へやってくる人々
資本主義のもと産業を牛耳る者は富み 仕事にあぶれた者は貧に喘ぎ
貧富の差は拡大し 多くの売春婦を生んだ結果 広がるエイズ
減っていく自分たちの食料 親をなくした子供たちの非行等々…

この作品は そういったリアルなアフリカの現状に焦点を当て
現地の人々のナマの声を収めた衝撃のドキュメンタリーです
海外では各賞を総ナメにしただけでなく 大きな社会論争が起こり
魚を買うことをボイコットする動きにまで発展したそうです
愚かだな ボイコットしたところで無くなる問題じゃないのに
…まあ だけど関心をもったという点では評価もできましょうか
日本人はどうでしょう
ナイルパーチ 白身魚フライなんかの材料 通称"白スズキ"

…遠いと思っているアフリカ 実際は思う以上に我々に近い


個人的な話になりますが ユトラが飢餓に最初に興味を持ったのは
中学生の頃 NHKでそういったドキュメンタリー番組を見てから
その番組は おいしい和牛を生産するために 牛が食べる良質のエサ
つまり穀物は アフリカから輸入されている という内容でした
あまりにも衝撃的で忘れられなかったのが
その穀物を現地に還元すれば 全人類をフィードできうる食料量が
実は地球には充分あるという事実 それが本当に胸に痛くて…
だからと言って和牛ボイコットなど解決策でないことは
若いユトラにもわかってました
まあ普段から高級牛なんて食べないけどね
その産業で家族を養っている人々も実際にいるわけだし
全ては悪循環を生み出した体制の根本的な問題なのだと…

その後少しずつ勉強して 飢餓の原因は先進国の贅沢によるのだと
知りました およそ嗜好品と呼ばれるものがソースになっている
例えばタバコの葉
本来はアフリカ人が自分たちの食料を作れただろう貴重な労働力と
肥沃な土地を 食料ではない農業で荒らしてしまったのが この産業
タバコを作った土地はヤニなどで悪くなり使い物にならなくなります


話は映画に戻り ナイルパーチも第三国の持ち込んだインダストリー
作品は主に現地の人や輸送機パイロットへのインタビューなので
そのへんは本編ではソフトにまとまってしまいましたが
その環境悪化とキャピタリズムの横暴は正に悪夢と想像できました

子供たちが本当にかわいそうなんだ
餓死と暴力と性的虐待に今日も怯えてる
それを忘れるために魚の梱包剤をあぶったドラッグ遊びをして
中毒で死ぬ子もいると言ってました そんなの日本ならNO!なのに…
魚自体は輸出用で彼らには高くて買えない
そして輸出で得た利益は…

密輸を経てヨーロッパで武器に変わり返ってくる
その運搬に一役買っているのがナイルパーチを運ぶ輸送機
勿論パイロットには何も知らされていない

映画で一番印象的だったのは ある現地の黒人男性が
「皆 戦争を求めてる」と言っていたことでした
戦争はお金になるからだって 政府は兵士に高い給料を払うから…
明日の食べ物をも知れない人たちにとっては
平和よりも目の前の生活物資なのです

でも馬鹿な…逆だ
戦争さえなければ 外に流れていった食料を買い戻せるのに
ああもう本当に 抜本的なところでは政治を変えないと始まらない
でも 世論を動かそうと思ったところで実際
自分たちの目前の生活に必死で 十分に教育も受けられない人々に
果たして説得はきくのでしょうか
もちろん出来ないことはないと思います
人間と人間なんだから 思いって きっと伝わるものだと思うし…
でも世界の福祉を訴えるのは きっと骨を折る
支えてあげないといけないんだ 彼らから食べ物を奪った我々が
我々はそのために民主主義という行政システムを持っているわけだし
まず自分たちが利口にならないと…

だからと言って 気軽に金や食料を寄付するのも浅はかなものです
それこそ食料は 恒久的には続かない一時的な空腹を満たすにすぎず
限りあるものだから 子供たちはすぐ奪い合いでケンカを始めます
お金はヘタをすれば銃に変わり 紛争を助長するかもしれません

あ〜 どうしたらいいんだろう 中学のあの時も眠れなかったなあ
この問題は一度ハマってしまうと グルグル同じところに戻って
結局 結論を出せずに終わる ヘタしたらデメリットばかりでてきて
自分が何を言いたいのかも わからなくなってきて 迷走するばかり
そのことに対して今 なんだか涙が出てきた 非力…
まあ映画は 判断を求めるものでも伝えたいわけでもない感じでしたが
どこかを立てようと思えば どこかにシワ寄せがきますしね
ただ 監督の目を通した アフリカの現状を見せてもらった感じです

日本では数年前にホワイトバンドが流行りましたが 不発に終わりましたね
白いバンドを身につけていれば「貧困にあえぐ子供を救おう」という
メッセージを体言できるそうですが 意味を知らねばただのファッション
実際 どのくらいの人が堅実に意味をとらえて実行したかも疑問ですが
「ほっとけない」キャンペーンなどはせっかくのバンドの販売も終了
継続性のないメッセージアイコンは無意味に終わってしまいます
一部では変な噂まであったそうですが それはまた別にして
これは 個人個人が世間の同行に流されることなく 意識していく問題です
ユトラも偉そうなわりに 慈善家なわけではないし
活動という活動も テキストやブログに書くだけで 口ばっかりですが
せめて クリック募金 は微力でも 役に立つと思って 広めたいと思う
企業体の活動は 経済効果も兼ねているので 有益だと考えています



 


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